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[ essay ]

人生をエンパワメントする「企画会議」

m / 2026.10.12 01:33

企画会議というのは、坂口恭平の『お金の学校』にあったアイデアで、自分のやりたいことを「お金を出す」という実行の直前まで突き詰めた企画書に落とし込む、ということをやる会議のことだ。

1人でやってると締切もないし、誰に見せるものでもなくていつまでも完成しないので、nice chairのMikiさんと2人でやっている。やっているというか、2年前に一度ガッとやって、2年越しに先日またやってみた。

私はこの「企画書」のシステムを気に入っている。

「やりたいができない」というアイデアがあった時、それを実行に移せない要因の最も大きなものが「お金」だろう。例えばカフェを開こうと思っても、開業資金にいくらかかるのか・どう集めるのかがわからない。

わからないものは、それ以上検討を進める材料もないので進められず、「できない」という事実で終わってしまう。

一方でこの企画書が良いのは、「お金」をあるものとして扱うので、他にできない限り、「お金を振り込む」という最後の実行直前まで企画の内容を詰めることができる。

例えばカフェを開こうと思う時、私は映画『リラの門』に出てくるベローチェみたいな酒場を開くことい憧れを持っているんだけど、
普通に考えようとすると、テーブルや窓の素材はどんなものにしようか、椅子の高さは、お店の広さは、出すメニューは、といった内容が浮かんでくる。

でも、テーブルの素材が決まっても、メニューが決まっても、お店は開くことができない。

まずどこの物件を借りるのか(これも現実の情報を調べる、どんなに高くても良い、なぜならお金がかからないから)、その物件の図面からすると、テーブルと椅子はどこのものが何個ずつ必要なのか(これも実際の製品と値段を調べる)。

流し台や調理台がないと何も提供できないから、それも調べないといけないし、そもそも食品衛生責任者の資格を取らないといけないかも、それって従業員の誰かが持ってればいいのか?自分が取るならいくらで何年かかるのか?

ここまででお店の開業資金が決まり、そこからはオープン後のオペレーションを考えてみる。

借りる予定の物件の周辺の類似飲食業態の相場はどれくらいか。メニュー構成は単価どれくらいを目指してどう組もうか。営業時間はどうするか。毎日どれくらい売上を上げれば、家賃と人件費を支払っていけるのか。何年後に開業資金を完済できるのか。

ソーシャルメディアで告知するなら、どんなデザインで打ち出していくか。そもそもお店の名前はどうしよう。

など、考えればキリがない。

キリがないけど、実際にカフェをオープンしたいなら、必ず考えるべきことしかない。「もうあとお金があれば実行できるのに!」というところまで調べたら、いったん寝かしておけばいい。ここまで行けば、自分がぼんやりできない、と思っていた物事が、お金さえあれば解決すること、そして「お金がない」を理由に思考停止していただけだったことに気づく。

そして、夢だけでないいろんな面倒さに気づいて、「そんなにやりたいことじゃない」と気づくこともあるかもしれない。

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私(たち)は普通に仕事して普通に生きていると、ぼんやりしてしまう時がある。視野が狭くなって、自分の選択肢がすごく限られたものしかなくて、そのどれを選ぶか、どれを選んでも大して変わらないかも、と思う時がある。

そんな時にこの企画書を書くと、やりたいと思うことはどうにかすれば実現できるし、やってないとしたら、ただ考える時間を作ってなかっただけなんだ、と気付かされる。お金は大きな要因のようで、そもそも多くの人がお金を収集する以前の企画書すら作る前に辞めてしまっている。

この企画書は、本当に自分がやりたいことじゃなくても全然問題ない。

前に私はバインミースタンド(都市部にベトナムの路上にあるようなバインミーを気軽に買えるスタンドが欲しいと思った)の企画書を書いてみたものの、全然お金が稼げないことに気づいて辞めたことがあるし、Mikiさんは人の家の空いてるスペースを酒が飲める場所として貸し出す、酒場版Airbnbみたいな企画を作っていたこともあった。

どちらも必ず実行したいものではないけど、面白そうだと思っていたアイデアを具体化したら抜け穴もたくさん出てきて発見があり、自分で腹落ちした状態で諦めたりすることができた。

今やAIもあるから、アイデア段階だけでパーっと企画書が作れちゃうけど、多分最初は自力でGoogleや本で検索しながら作ってみた方がいい。どうしても解決できない、わからない問題に直面したら、AIに聞くと必ず解決の道を示してくれるだろう。特にお金のこととかは全然わからないから、AIに聞くのが良さそう。最初から頼ってしまうと、もう自分の企画じゃなくなっちゃうから、ぜひメモ帳やipadに手書きで始めてみて。

企画書は、私の人生が可能性に溢れているものなんだ、と気づかせてくれる。人生を触発し、エンパワメントしてくれる小さな起爆剤でもある。いつか、複数人で集まって企画書を2〜3ヶ月くらいで作っていくワークショップをやりたい、という企画書を作ろうと思う。

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